●「公」と「民」の狭間で揺れ動く指定管理者制度 (2008/07/28)

●「公」と「民」の狭間で揺れ動く指定管理者制度 (2008/07/28)
   
●現場の声に見る問題点・課題 公の施設である以上、自治体が管理・監督する義務と権利を有するのは当然である。 しかしながら、指定管理者制度を導入する以上、どこまで「民」に任せるのか、その線引きを明確にすることが第一に求められよう。自治体による監督・指導はどこまで行うのか、条例や規則による縛りはどこまで自由化できるのか、これらの点を具体的に明確化すべきであろう。そしてその前提として、そもそも指定管理者制度を導入する目的及び行財政改革との関連性を今一度見直すべきだろう。 財政改革のためにコスト削減のみが重視されるのでは、指定管理者制度は民業として成り立たない。マンネリ化しがちだった公共施設の管理運営において、組織のあり方、業務のあり方を根本から見直す「リセット」の装置として指定管理者制度導入の意味があるはずだ。
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■ ■ ◆     <今月のトピックス> 2008年 8月号
■ ◇ ■
□ ■ ■  ●「公」と「民」の狭間で揺れ動く指定管理者制度
 指定管理者制度導入の初期段階が過ぎ、現在は管理運営実態のモニタリングが進行中。
また、平成20年は、指定期間終了にともなう第二期公募のピークが始まる年である。
 指定管理者による管理運営実績もある程度蓄積されたことから、管理運営の現場の生
の声から問題点や課題が浮き彫りにされつつある。本誌では2年近くにわたってそうし
た現場を取材し続けてきた。
 本号の特集では、実際に指定管理者となった事業者等への取材から得られた現場の生
の声を整理して紹介する。中には個人的な見解や風聞に類する内容も含まれているが、
敢えてそのまま掲載。制度を真に生かすためには、現場感覚が重要であると考えるから
だ。取材に協力していただいた方々に配慮して、施設名や事業者名は伏せておく。
 現場の生の声から見えてくるものは、「公」と「民」との二つの原理の間で苦闘する
姿である。

■問題点の整理

 指定管理者制度にまつわる諸問題は、結局その「中途半端さ」に由来している。すな
わち次のような二律背反する目的を同時に目指そうとしているためだ。
①民間の経営的手法(選択と集中・収益向上等)の導入     ②サービス向上
     ⇔                           ⇔
 公共性・公益性(公平と普遍・収益より住民福祉)の確保    コスト削減     
 
 このために、民間移譲といった完全な民営化の形をとらず、自治体による指導・監視
の権限を残している。しかも、制度導入の具体的な手法は、各自治体の自由裁量であり、
指定は3年~5年程度の期間限定だ。この不完全な民営化の「中途半端さ」が、現場で
様々な混乱を引き起こしているのである。
問題点を整理すると次のようになる。
○指定管理者制度導入の目的・方針が不明確→指定管理者選定の評価軸が不明瞭→選定
 過程の諸問題の発生
○民間的経営手法導入と公益性確保との間の線引きが不明確→条例・規則・慣例等によ
 る縛りで民間の創意工夫が生かされない
○指定管理者にサービス向上を求めながら一方で財政悪化によるコスト削減→事業収支
 の厳しさ・施設老朽化への対応の遅れ
○自治体の指導力及び説明責任の不足→事務引継ぎ上の諸問題発生・地元住民や団体と
 の軋轢や連携不足
○指定管理者と自治体担当者とのコミュニケーション不足・連携不足(民間企業側にも
 責任あり)

 これらの諸問題は全て、「公」と「民」との間における両者のバランスを保つ支点が
見えないところに起因している。
公の施設である以上、自治体が管理・監督する義務と権利を有するのは当然である。
 しかしながら、指定管理者制度を導入する以上、どこまで「民」に任せるのか、その
線引きを明確にすることが第一に求められよう。自治体による監督・指導はどこまで行
うのか、条例や規則による縛りはどこまで自由化できるのか、これらの点を具体的に明
確化すべきであろう。そしてその前提として、そもそも指定管理者制度を導入する目的
及び行財政改革との関連性を今一度見直すべきだろう。
 財政改革のためにコスト削減のみが重視されるのでは、指定管理者制度は民業として
成り立たない。マンネリ化しがちだった公共施設の管理運営において、組織のあり方、
業務のあり方を根本から見直す「リセット」の装置として指定管理者制度導入の意味が
あるはずだ。 
(※上記記事は、月刊誌「月刊指定管理者制度 08.1月号より引用」、詳細は08.1月
  号をご参照ください。) 
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